新生児メレナの症状と原因
生まれて2~3日の赤ちゃんが、赤い色やコーヒー色の液を吐いたり、血液の混じった赤や黒いウンチをすることがあります。
これは、赤ちゃんの胃や腸などの消化管から出血しているためで、「新生児メレナ」というものです。
新生児メレナの原因
新生児メレナは、ビタミンKが不足することにより起こります。
生まれたばかりの赤ちゃんは、血液を凝固させる働きのあるビタミンKが体内に蓄えてありますが、使い切ってしまって不足する場合があります。大人はビタミンKを大腸で合成することができますが、赤ちゃんは自分の体内でつくることができないからです。
そのため、ミルクや母乳からビタミンKを補給しなければなりませんが、飲む量が少ない赤ちゃんは不足しがちになります。
体内のビタミンKが足らなくなると、消化管から出血した場合にそれを止める力が弱く、口から吐いたり、血の混じったウンチを出すようになります。
消化管から出血する原因としては、食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃穿孔、出血性胃炎、ミルクアレルギー、腸重積症、細菌性腸炎、などが考えられています。
仮性メレナ
分娩時に産道の血液を飲んだり、母乳を飲むときに乳頭周囲の傷から出た血を飲み込んだために、吐血や血便を見ることがあります。
新生児メレナと同じような症状ですが、これは仮性メレナというもので、心配はありません。
新生児メレナの予防
現在は、病院側で生まれてくる赤ちゃんすべてに、ビタミンKシロップを飲ませて新生児メレナの予防をしています。
しかし、消化吸収の機能が未熟な赤ちゃんは、ビタミンKの吸収が遅れ、吐血や血便の症状が出ることがあるため、赤ちゃんの様子を良く観察することが大切です。
ミルクは、ビタミンKが強化配合されているため、あまり不足することはありませんが、母乳の赤ちゃんの場合に不足するケースが多いようです。
新生児メレナの治療
アブト試験(仮性メレナと区別する試験)や血液検査、レントゲン検査などを行い、新生児メレナと診断された場合は、ビタミンKを投与します。出血が多く、重症の場合は輸血や手術を行うこともあります。