子供のアトピー性皮膚炎・症状と原因
激しいかゆみを伴う湿疹が全身に生じる「アトピー性皮膚炎」は、約8割が5歳までの幼児期に発症し、多くは思春期の頃に自然軽快します。
アトピー性皮膚炎の原因は、未だはっきりとは解明されていませんが、特定の食べ物やアレルゲンとの接触、遺伝、皮膚への刺激、ストレスなどが複雑に絡まりあって生じると言われます。
アトピー性皮膚炎の症状
アトピー性皮膚炎は、次のような特徴的な症状があります。
- 最初は、頭や顔にじくじくした赤いぶつぶつが現われ、次第に手足や全身へと広がります。
- 乳幼児期には、主に首周りや肘膝関節の裏に水泡ができてじくじくとただれたような状態になります。
- 学童期には、ひじや膝の裏など関節の内側に、あせものような発疹やじくじくした発疹が生じます。
- 次第に皮膚が乾燥して白い粉を吹いた状態になり、強いかゆみを伴います。
- 掻き壊したあとにかさぶたができたり、カサカサしたふけのようなものが落ちます。
- 頭部や眉毛にも湿疹ができ、髪の毛が抜けたり眉毛の外側が薄くなることがあります。
- 皮膚が乾燥しやすい冬に悪化しやすく、夏には症状が軽くなる傾向があります。
- 掻き壊しをくりかえして慢性化すると、皮膚がごわごわと厚く硬くなります。
アトピー性皮膚炎の原因
子供のアトピー性皮膚炎の原因としては次のようなことが挙げられますが、ひとつではなく複数の要因が重なったときに症状が現れます。
- 特定の食物によるアレルギー反応
子供のアトピー性皮膚炎の場合、ある特定の食べ物によってアレルギー反応を起こす場合が多くなっています。
何の食べ物がアレルゲンになるかは、それぞれ異なりますが、3大アレルゲンである卵、牛乳、大豆は注意が必要です。
また、米、小麦、そば粉、豚肉、トウモロコシ、ゴマなどもアレルゲンになることがあります。
- 外部のアレルゲンが体内に入る
室内のハウスダストやダニ、カビ、動物の毛やフケ、鳥の糞、花粉などが体内に入ってアレルギー反応を起こし、アトピー性皮膚炎を発症することがあります。
近年では、住宅建材の処理剤なども問題になっています。
多くは、呼吸器や皮膚などから体内に入りますが、アレルゲンに接触後、15分ほどで皮膚炎の症状が現れることもあります。
- 皮膚のバリア機能の低下
人間の皮膚には、もともと水分を保持し外からの刺激や雑菌などから守るための、バリア機能が備わっています。
このバリア機能が低下すると、皮膚は乾燥しがちになり外部からの雑菌やアレルゲンが侵入しやすくなります。
雑菌やアレルゲンが侵入すると、それを追い出そうとして免疫細胞がヒスタミンという物質を放出するため、かゆみと炎症が生じます。
- 遺伝
アトピー性皮膚炎の発症には、遺伝も大きな原因のひとつにあげられます。
両親や祖父母、兄弟姉妹、おじやおばなどが、アトピー性皮膚炎のほか、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、ぜんそく、じんましんなどのアレルギー性の病気を持っている場合、子供は高い確率でアトピー性皮膚炎を発症することがわかっています。
- 皮膚への刺激
アレルゲン以外の皮膚への刺激がアトピー性皮膚炎の原因になることがあります。
汗をかいてあせもができ、それが皮膚炎に移行してしまったり、衣類による摩擦、虫刺され、ひっかき傷、髪の毛による刺激などもアトピー性皮膚炎の原因になります。
また、刺激の強いシャンプーやせっけん、化繊タオル、空気の乾燥などは皮膚炎の症状を悪化させます。
- 精神的な要因
精神的ストレスや欲求不満が、アトピー性皮膚炎を引き起こす要因のひとつになることがあります。
学校での勉強や友人関係の悩み、思い通りに行かないことに対する欲求不満、寝不足によるイライラなど、心の問題が皮膚炎を発症させたり、悪化させたりすることがあります。
スポンサーリンク