子供の軽度発達障害について

子供の成長を見守る上で、気になるのが「軽度発達障害」と言われるものです。
現代の日本では学童期の子どものうち5~6%が軽度発達障害と考えられており、決してめずらしいものではありません。

軽度発達障害は、障害の程度が軽いため、一見して普通の子供と変わらないため、障害と気づかず「本人の性格が悪い」「親の育て方が悪い」と誤解して悩んでしまう家族も少なくありません。子供のためにも、家族のためにも、軽度発達障害について、正しい知識を持ちましょう。

代表的な軽度発達障害

軽度発達障害は、人間の初期の発達過程が何らかの原因によって阻害され、認知、言語、社会性、運動などの機能の獲得が障害された状態を言いますが、代表的なものとして、高機能広汎性発達障害(アスペルガー症候群・高機能自閉症)、注意欠陥多動性障害(AD/HD)、学習障害(LD)があります。

  • 高機能広汎性発達障害(アスペルガー症候群・高機能自閉症)とは
    高機能広汎性発達障害とは、中枢神経系の何らかの機能不全で起こると推定されているもので、認知、言語、運動、社会的技能において全般的な精神遅滞が見られ、アスペルガー症候群と、高機能自閉症が含まれます。
    アスペルガー症候群は、知的発達の遅れがなく、言語やコミュニケーションの障害も目立ちません。しかし、人と共感することや人の心を推測することが苦手で、本人にしかわからない理論・理屈によって行動するという特徴があります。
    アスペルガー症候群は、知的レベルが高い人も多く、また大人になるまでわからなかったというケースも多くあります。
    自閉症は、他の子と一緒に遊ぶことが苦手、仲間を作るのが苦手などの「社会性の障害」や、自分の意志を相手に伝えることができないという、「コミュニケーションの障害」、同じ行動を何度も繰り返すという「興味や行動の偏り」が見られますが、この中でも知的な遅れのないものを「高機能自閉症」呼んでいます。
    高機能広汎性発達障害は基本的には治らないと言われますが、年齢とともに目立たなくなったり、青年期を上手にやり過ごせば、その後は安定した生活を続けることが可能な障害です。

                                      
  • 注意欠陥多動性障害(AD/HD)とは
    注意欠陥多動性障害(AD/HD)は、集団生活がはじまると同時にその特性がはっきりしてきますが、注意力の不足、衝動性、多動性などの障害があります。
    忘れ物が多い、気が散りやすく集中力が続かない、順番を待つことができない、常に手足を動かしている、授業中に席を離れて歩き回る、感情面ではキレやすいなどの問題行動を起こしやすく、時にはチックを伴うこともあります。
    注意欠陥多動性障害(AD/HD)の約1/3は自然に治りますが、約半数は成人になっても障害をもち続け、社会生活のトラブルの原因となることが多いと言われます。

  • 学習障害(LD)とは
    学習障害(LD)は、一般的な知的発達に遅れは見られませんが、言葉を聞いたり、話したり、読んだり、書いたり、といった国語の能力や、文字や数字の理解といった算数の能力のうち、特定の事柄が極端にできないという特徴があります。
    学習障害は成人になっても障害がなくなるということはありませんが、周囲の理解を得ながら適切な仕事につければ、普通の社会生活を送ることが可能です。


    軽度発達障害の子供達は一般の人には障害があるように見えませんが、「ちょっと変わっている子」という目で見られ、仲間はずれにされたり、時にはいじめに遭うこともあります。そして周囲の無理解から、2次的な精神障害が引き起こされるケースもあります。
    子供の様子を観察して、「何かおかしい」と感じたなら、小児科・精神科(児童精神科)・心療内科などを受診してみましょう。



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