子供のてんかん発作と対処法

子供に多い病気のひとつである「てんかん」の患者さんは、日本全国で100万人もいると言われます。
しかし、一部の「難治性てんかん」を除き、小児期に発症したてんかんは、何度か繰り返しつつも思春期くらいまでには自然に治ります。
発作を起こすと慌ててしまいますが、命を失うことはめったにないので、落ち着いて対処しましょう。

子供のてんかんの原因

けいれん発作を繰り返すてんかんは、脳神経細胞の一部が興奮するために起こると考えられています。
通常、大脳の神経細胞からは穏やかな波のような脳波が出ていますが、ある特定の場所が異常に興奮して電気的な乱れが生じ、激しい連続的な波が発生したときにてんかん発作が起きます。
この発作が一回だけならてんかんとは診断されませんが、何度も繰り返し起こる場合にてんかんと診断されます。

脳の神経細胞の中で異常に興奮しやすい場所が形成される原因として、仮死分娩や低酸素分娩などで出産時に発生した脳障害があげられます。
また、予防接種やはしか・突発性発疹などの感染症で高熱を出した際の脳炎、髄膜炎のほか、脳出血、脳梗塞、脳外傷など、その時には何も症状が出なくても、小学生や思春期頃になっててんかんの発作が出ることも珍しくありません。

そのほか、お母さんの子宮の中で胎児の脳が形成されるときに何らかの異常が生じ、正常な発達が阻害されててんかん発作を起こす原因になることがあります。
また、まれに脳腫瘍や血管腫などの病気が関係していることがあります。
このような場合は、薬でコントロールできない難治性てんかんになる可能性もあるので、詳しい検査が必要になります。  

てんかん発作を起こした時の対処法

多くのてんかん発作は、手足をつっ張って全身がけいれんを起こし、泡を吹いて倒れます。時には意識を失ったり、顔が紫色になる「チアノーゼ」が見られることもあります。
このけいれん発作は数十秒から数分間続き、発作がおさまった後は、嘔吐や頭痛が見られることもあります。

しかし、これ以外にも「身体の一部がピクピク動く」、「大声をあげて叫びだす」、「急に泣き出す」、「急に笑い出す」、「床を転げ回る」などの極端な行動も、てんかん発作の一種として考えられています。

子供がてんかん発作を起こしたら、次のように対処してください。

  • 落ち着いて冷静になる
    てんかん発作は、急に起こることが多く、あまりにも苦しそうなので慌ててしまいますが、まずは落ち着いて周囲と子供の様子を見るのが先決です。
    てんかん発作で命を失うことはめったになく、数十秒から長くても数分程度でおさまります。
  • 安全な場所に移動させる
    道路や階段、川の近くなど、危険な場所で発作を起こした場合は、安全な場所に移動させます。
  • 周囲の危険物を取り除く
    周囲にストーブやその他の電''化製品など、危険なものがある場合は遠ざけてください。けいれんによって火傷や打撲、その他の事故を起こすことがあります。
  • 衣服をゆるめる
    ボタンなどをはずし、呼吸しやすいように衣服をゆるめてあげてください。
  • 下あごを上に押し上げる
    けいれん中は、下あごに手を当てて上方に押し上げ、気道を確保してください。舌を噛んだり窒息したりすることを防ぐことができます。口の中に無理やり指やタオルなどを入れると、口の中を傷つけたり指を噛まれたりすることがあり、かえって危険なのでやめましょう。
  • 入浴中に発作を起こしたら
    お湯から顔を上げ、呼吸ができる状態にして発作がおさまるまで体を支えます。難しい場合は浴槽の栓を抜いてください。プールの中で発作を起こした場合も同様に水面から顔を上げて体を支えます。
    すでに大量に水を飲んでしまったり、呼吸が止まっている場合はすぐに救急車を呼んでください。
  • けいれんが治まったら、顔を横に向かせる
    食べたものを吐いたときに食べ物が気管につまって呼吸ができなくなるのを防ぐために、発作後は顔を横に向かせましょう。
  • 発作後はゆっくり休ませる
    てんかん発作時は、脳の中で電気の嵐が起こっている状態なので、発作後はゆっくり休ませることにより元に戻ります。発作がおさまった後、眠ってしまった場合はそのまま眠らせてあげてください。
    また、意識がもうろうとした状態で立ち上がったり歩いたりすることがありますが、その場合も危険なものにぶつかったりしないように、寄り添って保護してあげてください。
    また、この状態のときに水や薬を飲ませると窒息や嘔吐の原因になるので、完全に回復するのを待ってからにしてください。
  • こんな時は病院へ
    一回のけいれん発作が長時間にわたって止らないときや、短い間隔の発作を何度も繰り返す場合は、治療が必要です。ただちに病院へ連れて行ってください。

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